理事長からのご挨拶
理事長からのご挨拶
当院は明治20年に秩父神社に隣接した、宮側町に開院しました。
「秩父の患者さんが、秩父で十分な医療を受けられること」
これは秩父病院創立の志であリ、私の『夢』でもあリます。このためには、地域の医療機関が協力連携し、全体として一つの総合病院の機能を持つことが必要です。 当院はその中心的役割を果たすべく、得意分野における専門性の充実と、少しでも広い守備範囲の拡張に努めて来ました。 同時に、解放病床・オープンシステムを実践、さらに、広域的連携の中核施設として、円滑な高次医療機関への紹介、大学等より専門医を招聘しての専門外来の開設等、地域の医療水準の向上を目指してまいりました。 今後も、これらをさらに充実させて行きたいと考えています。
一方、どうしても当地では治療困難な疾患もあリ、その場合は速やかに高次医療機関に紹介転送しなければなりません。 これら相反する二つに対応すべく、 平成23年3月、現在の地にヘリポートを備えた病院を新築し、移転しました。 昨今は医療の進化は著しく、特に緊急治療を要する心・脳疾患において顕著です。 これに伴い、標準的医療水準は日々進化し、現時点では、これを秩父地域で行ことは残念ながらできません。
今後の当院の志と私の夢は「秩父の患者さんが(秩父で)十分な医療を受けられること」であります。 より広い視野を持ち、従来の意識からの転換が必要と考えます。 より広域の連携が必須であり、アクセスとシステムの進歩による実質的医療圏の拡大が望まれます。
当院の目指して来たものは、救急病院としての急性期医療と人間ドックを始めとする健診・予防医療であり、今後もこの方針はまったく変わりません。
しかし、先に述べた様に、患者さんの利益を最優先に考える時、対処不能疾患はより早く高次医療機関に収容しなければなりません。
この様な場合、当院の様な二次救急医療時間を経ることは、時間的にみても好ましくありません。当院は得意分野で地域に貢献したいと願うものです。
引き続き、肝臓を含む消化器疾患の治療、外科手術、内視鏡処置・手術に力を入れ、標準的医療を上回る医療を行ってまいる所存です。
また、歯科は病院歯科としての特徴を発揮し、小児や鎮静・全身麻酔が必要な患者さん、全身疾患を抱える患者さん、入院が必要な患者さんの治療に力を入れてまいります。 さらに術前の口腔ケア、摂食嚥下障害のみならず、在宅や施設における高齢者の治療・ケアにも積極的に取り組んでまいりたいと思います。 患者さんにとって医科と歯科のコラボレーションこそ必要と考えています。
最近の当院の役割にもう一つ大事なものがあります。
それは若手医師の教育・育成であります。
平成16年に新医師臨床研修制度が始まりましたが、当院は当初より初期研修医の受け入れを始め、現在まで156人の研修医に地域医療研修を行って来ました。
平成27年には研修医0Bを対象とした「花仁塾」を立ち上げ、情報発信と懇親の場を設け、彼らの成長の糧になるべく取組んでいます。
また埼玉医科大学等より多くの若い医師達を派遣して頂き、指導とお互いの研鑽に努めてきました。その数は40名を超えます。
同時に、日本外科学会、日本消化器内視鏡学会をはじめ、複数の学会の修練施設として、学会専門医の育成を行っています。
また麻酔標榜医の育成も行っております。
目指すは「広い視野を持った専門医の育成」であります。
また、看護師、技師を始め医療スタッフの育成も当院の重要な役割と考えています。
平成30年度より、新専門医制度が始まりました。 この制度の中でも、地域医療の研鑽は必須となっており、医師が成熟して行く上で、当院のように地域医療を実践している病院の役割が再認識されてきたと感じています。 医師のみならず、医療人としての人材育成の一端を担えるよう、今後も頑張ってまいりたいと考えています。
平成31年3月31日
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