花輪理事長の独り言
今回は当院より3演題を発表します。
守麻理子先生の「地域の中核を担う二次救急病院での外科医としての役割」
大野哲郎先生の「外科医主導で行う臨床研究ー埼玉県秩父地域における胃がんリスクABC検診ー」
私は光栄なことに、指定演者を依頼され、現在準備中です。
[セッション名] 特別企画5
今こそ地域医療を考えるー都市と地方の外科医療と外科教育の格差を解消するにはー
演題名は自由とのことですので、色々と考えた結果、私は以下の演題としました。
以下抄録を紹介します。
研修医の視点に学ぶ格差解消への模索と地域医療の役割
Groping after Dissolution of the Differentials and Roles of Community Healthcare Learned from Trainees’ Perception
秩父病院外科 花輪峰夫 守麻理子 大野哲郎 山田正己
当院は秩父市にある52床の民間救急告示病院である。医療圏は県全体の四分の一を占め、人口約11万、圏内に高次医療機関はなく、対処不能症例の搬送には1時間を要し、都市と地方の医療格差を痛切に感じる環境にある。臨床研修制度発足以来、2大学、計8病院より約100人の初期研修医が地域医療研修を行っている。
今回の命題について、格差の最大の原因は医師の地域偏在であると考える。診療科偏在も問題である。今回我々は、都市と地方の優劣というより、研修医の視点からみた「違い?」に焦点を当て、格差解消の糸口を模索してみた。
研修レポートで「特に印象に残った大学と地域病院の違い」に注目した。主だった項目を整理すると①外来診療・外傷処置②初診から退院までの診療全体の流れ③手術と内視鏡を体験し、④手術時間の短さ⑤何でもやる外科医⑥外科医の麻酔に驚き、⑦患者と医師とスタッフとの距離の近さとチーム医療を知り、⑧夜間救急の当直医が外科内科を問わず小児科まで診ている⑨患者を断らない⑩スタッフ全員が地域医療を支えているという思いに感動した。⑪医師としての在り方⑫人生の楽しみ方を学んだ。⑬広い視野を持つ医師になりたいと思うようになった。地域偏在解消の第一歩は、若い医師達に早い時期から地域医療とその魅力に気付いてもらうことである。地方でこそ得られる自身の存在感、基本的手技、患者・家族との深い触れ合い。市民の生活に深く関わる地域医療は質と安全が担保されるべき医療の原点であり、外科医が成熟して行く上で欠かせない。外科医不足の原因も考えなければならない。多くの研修医から「救急か外科か迷っている。大学の外科では開腹できない、もっとダイナミックで外科らしい外科をやりたい」という趣旨の言葉を聞いた。彼らの多くは救急を選択した。一方で、進路を決めかねていた研修医の多くが外科に興味を示した。今の大学の極端な専門志向と鏡視下手術一辺倒の診療と教育が、彼らにとって魅力的であろうか。指導陣の意識改革も必要であろう。
今回、彼等の斬新な感性に触れ、地域病院と大学病院の根本的な違いと、それぞれの役割を改めて認識した。同時に、彼らから地域病院の役割を改めて気付かされた感がある。地域医療とは、地域を担うという気概である。格差解消には、今こそ都市と地方における医師の双方向の流れ、または循環システムを構築することが必要であろう。新専門医制度にも期待したい。
初期研修医の研修中の写真
私は、一昨年の第40回日本外科系連合学会学術集会において
シンポジウム 2、外科系診療を取り巻く社会的問題の中で
「極端な専門医志向の弊害と対策・地域病院の役割」という演題で発表しました。
やはり私が自信をもって発信できることは地域医療に関わることと思っています。そして若い医師達が成熟していく上で最も重要なことは、広く医療の現状とあり方を知ること、つまり地域医療の経験は不可欠であると考えています。そんな訳で、今回の演題も研修医と地域医療に関する演題名としました。座長の先生方、私以外の演者の先生方は大学教授の著明な方々でありますので、地域代表として精一杯話そうと思っています。
とても楽しみです。
研修医たちとバーベキュー
病棟の裏の畑で蕎麦を栽培して初めてもう4年目になります。今年の蕎麦も良くできました。例年の如く、友人やお世話になった人たちにお送りし、食べて頂いています。好評です。
蕎麦の花・蕎麦畑
蕎麦畑と、花の子ハウスの子供たち
「はぜ」の天日干し
外科医会は毎月行われていますが、毎年1月の新年会と7月の会には外部より講師をお呼びし、御講演を頂いております。
今回は先の山口茂樹先生にお願いしました。腹腔鏡下結腸、直腸手術全般を、大変きれいな動画と分かりやすい解説でお話し頂きました。
その後は新年会・懇親会が行われ、本強矢先生からご提供頂いたフランスワインを満喫し、さらに二次会へと、楽しい酒を飲みました。
研修医たちと記念撮影
昨年の暮れ、埼玉医科大学国際医療センター・消化器病センター長の山口茂樹教授に当院にて腹腔鏡下手術を執刀して頂きました。一言でいって、スマートできれいな手術でありました。
45年外科医をやっていますが、新しい発見はあるものです。私は何時も若い先生達に「手術は層を意識することが大事」と言っています。しかし、今更ながらそのことの大切さを気付かせて頂きました。恥ずかしながら、後腹膜に固定された大腸にも腸間膜の層があることなど意識したことがありませんでした。素晴らしい手技、大胆さと繊細さ、緩急のバランス、助手への指示や手術全体の流れのコントロール、正にダイレクトに解説付きでご指導頂きました。両手に持った鉗子とハーモニックに運動神経と知覚神経が通じていることが良く分かりました。正に手術であります。また、鏡視下手術のメリットを開腹手術にも生かせることを知り、大変勉強になりました。その後の私の手術は少しスマートになったかも知れないと思っています。
6月以来ブログの書き込みは出来ませんでした。特に忙しすぎた訳でもありませんでしたが、気持ちが乗らなかったというところが本音です。12月、クリスマス音楽が聞こえてくるようになり、ブログに書き込むためのエネルギーが多少出てきました。今年後半期の出来事を振り返ってみます。
ホットしたことは、検察審査会の仕事が終わったことでしょうか。検察審査会とは不起訴となった事例の内、再審査請求があったものを、我々民間人が審査し、決定を下すというものです。月に1回の熊谷の地方検察庁への出張は結構大変でした。1万5千人に一人の確立で選ばれたとのことですが、できれば宝くじに当たってほしかった。しかし、社会勉強になったことは確かで、一応国民の義務を果たしたという達成感は持てました。
この審査会での収穫が一つあります。それは貴重な人材に出会えたことです。長くアメリカで暮らし、現在アメリカ人の奥さんと秩父で仕事をしている方で、後で紹介する第2回秩父ミーティングで本場のバーベキューを提供してくれました。彼の奥さんは今、「花の子ハウス」で子供達に英語のレッスンをやってくれています。
8月は10万トン級の客船クルージングに行ってきました。ベネチアから出航、アドリア海・エーゲ海クルージングを楽しみました。ベネチアの町、運河、サンマルコ寺院、海上都市の情感、船からの景観は言いようもない素晴らしいものでした。ミコノス島、サントリー二島、ドブロブニク、いずれも初めて見る景色と空間で、あっという間の夢の中の体験でありました。久しぶりに異国の風景、少しだけ文化に触れましたが、なぜか衝撃的な感動はありませんでした。歳とともに自分の感受性の閾値が上昇しているのか、鈍化して来たのか、ちょっぴり寂しさも感じました。しかし、一番の理由は、通り過ぎる一瞬の旅(移動)であったからだと思います。同じクルージングでも、自分で操船している時の緊張感も苦労もなく、その土地の人たちと触れ合う時間も、それぞれ島の文化を噛みしめる余裕も、土地の美味しいものを食べる時間もなく、次から次にセットされて出てくるものを消化しないうちに表面だけを舐めて行く感がありました。ならば自分のヨットで訪れてみたいと思わないことはないのですが、残念ながら、今の私にはそのエネルギーと気力がありません。自分の可能性がどんどん小さくなって行くことを寂しく感じる今日この頃です。
ただ、来年は33年ぶりに小笠原、5年後はベーリング海からカナダまでの航海を夢見ています。
喜望峰Ⅲ ブームを交換、新しくブームファーラーとし、ジブ・メインセールも新調、遠洋航海に向けて着々と準備を進めています。来年はフルセーリングで小笠原まで。気力・体力・余力を充電中。
学術面では、昨年(平成27年)6月には第40回日本外科系連合学会のシンポジウム(指定)2、外科系診療を取り巻く社会的問題の中で、座長と「極端な専門医志向の弊害と対策・地域病院の役割」をシンポジストとして口演させて頂きました。
今年は11月25日に行われた日本臨床外科学会で一般口演、救急・外傷(腹部)セクションの座長をやらせて頂きました。
また、来年の日本外科学会定期学術集会に向けて、当院より複数の演題申し込みを行いました。私も最後の学会発表のつもりで、「胆管癌による閉塞性黄疸に対するPTCD後の胆管小腸皮下バイパス手術の検討」を応募しました。何題が採用されるか楽しみです。
当院医師・研修医による発表
平成28年11月5日 埼玉県外科集団会 佐藤達志先生(研修医)『Meckel憩室が嵌頓した大腿ヘルニアの症例について』
平成27年2月22日 埼玉県医学会総会 守麻理子先生『当院におけるヘリ搬送の現状』
埼玉県医師会医学奨励賞受賞 表彰式 平成28年11月17日
平成27年2月22日 埼玉県医学会総会 大野哲郎先生『Mini Loop Retractorを用いた単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術』
平成28年11月26日 移転後3回目となる秩父病院医療連携会を開催しました。
メインテーマを「秩父の救急医療を知り、考える」として、パネルディスカッションを行いました。
翌日の日曜日には、第2回秩父ミーティング・BBQを開催しました。先に述べた検察審査会で知り合った友人による、本場アメリカ野外パーティーが行われました。
花の子ハウスは10月でちょうど1周年を迎え、栗、柿、ミカンの記念植樹を行いました。3年、8年後が楽しみです。
花の子ハウスでは8月より友人の奥さんによるアメリカ西海岸・本チャンの英会話レッスンが始まっています。
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6月14日(火)に2016年4月に入職した新人の歓迎会を秩父農園ホテルで行いました。総勢96名、内新人14名です。
職種は非常勤医師4名、看護師5、理学療法士1、社会福祉士1、歯科衛生士1、介護士2名です。
診療科では化学療法の充実、将来呼吸器外科の展望、形成外科の復活がなりました。歯科は新たに矯正歯科が始まりました。
看護部門は秩父看護専門学校より新人看護師3名、ベテラン看護師2名を迎え、一段とパワーアップしました。当院初めての理学療法士は片田先生のお嬢さん、私はリハビリとはこんなにも効果があるものだ、すごいと今更ながら感じ、当院のような急性期病院でも必要不可欠であると痛感しました。医療連携室にも新卒の社会福祉士が入り、包括ケアーが叫ばれる中、大きく期待が膨らみます。歯科も口腔ケアー等がさらに充実し、病院歯科としての充実に貢献するに違いありません。ベテラン介護士も2名加わり嬉しい限りです。
ともかく今回の新入職員は仲が良さそうです。院内に活気と明るさを浸透させてくれそうです。
2016年6月4日(土)・5日(日)、花仁塾生と当院で過去に初期研修を行った研修医OBの先生方に案内を差し上げ、「秩父ミーティング」を行いました。当院に初期研修医が来るようになってより、10年を過ぎ、すでに100名近い初期研修医が当院で地域医療研修をしています。大学や様々な医療機関で中心となり、指導的立場で活躍している先生方もいるはずです。久しぶりに顔を見たくなり、この計画をしました。連絡をとると、多忙を極めてどうしても出席できない人、どうにか参加したいという人、結婚して姓が変わった人、おめでたの人、正に様々なようですが、医師として最も大切な時期を精一杯頑張っている様子が分かりました。
そんな中でも、2日間で、20名弱の先生方が来てくれました。私としてはとても嬉しく、感激しました。有難う。
1日目は秩父ミューズパークのコテージホールで、講演会を行いました。私は昨年の6月に外科系連合会でシンポジストとして話した「極端な専門医志向の弊害と対策・地域病院の役割」を、外科部長の大野先生は当院の臨床研究「秩父地域における胃がんリスク(ABC)検診および大腸がん(便潜血)検診」を講演しました。
その後の懇親パーティーでの、研修医OBの先生方の近況報告と思い出話は、当院での研修が何らかの役に立っていることを感じることができ、私としては嬉しい限り、愉快この上ないものでした。何か報われた感じがしました。
コテージのバルコニーで夜が更けるまで飲みました。翌日予定していたアスレチィック体験は全員ギブアップで中止としました。
翌日は荒川沿いのオートキャンプ場でバーベキュー。当院職員や家族も大勢参加し、盛り上がました。バーベキューも最高に美味しかった。私も酒が回り、多少調子に乗りすぎて川で泳いでしまいました。良い企画であったと自画自賛しています。またそのうちやりましょう。
当院のスタッフがこの企画の準備から、実際の段取り、実行まで、本当によくやってくれました。良い職員がたくさんいることを改めて実感したイベントでした。皆さん本当にご苦労様でした。
昨年より職員を西伊豆の海に連れて行っています。今年は、5月6月に計3回行きました。私にとって、海とヨットと釣りは自分だけの大切な世界です。海や山、自然との付き合いは、たとえ遊びでも多少のリスクを伴い、多くのエネルギーが必要なものです。私は何時も自分のことをちょっとした冒険家でありたいと思っていますが、最近はリスクや苦労を伴う趣味は敬遠される傾向のようです。私はずっと、そんな人達に私の趣味・遊びを理解してもらうことが面倒くさいと思っていましたので、特別な事情がない限り、自分一人か気心の知れた仲間たちのだけで楽しんで来ました。
しかし昨年よりなぜか私の気持ちも少し様変わりして来ました。歳のせいなのでしょうか?「最近の若いやつらは」と言い出すと歳をとった証拠ですが、最近の若いやつらを見ていると、あまりにも呆れることが多いのです。多少毒舌を吐きますと「ひ弱で臆病、探求心、冒険心なし、若者特有の馬鹿さなし、そして夢とロマンがない」のです。パソコンとスマホの知識・ゲームでの仮想体験だけで、この先生きてゆけるのか?とさえ思えるのです。勇気をもってリスクを乗り越え、痛みと苦労を自身の体で体験してこそ人生は面白い。医療における「極端な専門医志向の弊害」の如く、人生においても広い視野が必要なのでは?と思うのです。
私の遊びを彼らはどう感じるのか?一度見せてやろうかと思ったこと、心底この私にとっては素晴らしい世界を見せてやりたいと、おせっかい心がうずいたたことが、職員をヨットに誘うことになりました。徒労に終わり後悔するかもしれませんが、今のところ私の意図するところが分かってもらえているかどうかは別として、楽しんではくれているようです。そして、彼らをヨットに連れて行ってみて、確実に良かったと思ったことがあります。それはお互いをより知ることができたことでしょう。ヨットという同じ屋根の下で、2~3日一緒に過ごす、いわゆる、同じ釜の飯を食い、酒を飲み、非日常にどっぷりとつかる。そこで、心が通じ合うこともあります。仕事場では見えないその人の資質が垣間見えます。私は院長として思うことは、皆が仲良くなり、病院に活気が出てくれれば、それだけで十分満足です。今年は初期研修医を3人連れて行きましたが、彼らにも医者としての視野が広がるきっかけになれば良いと思っています。
今年の釣果はすごいです。正にビギナーズラックで、新人看護師の紅葉君に大きなヒラメ2匹、若手ホープの石渡君になんと4キロオーバーの真鯛が釣れました。その他、何人かにアカハタ、カサゴ、イサキ、メバルがたくさん釣れました。これは早速、病院の職員昼食に尾頭付きと煮物で登場しました。うまかった。
「今幸せになりたかったら酒を飲みなさい、3日間?幸せになりたかったら結婚しなさい、
永遠に幸せになりたかったら釣りをしなさい」
松崎マリーナオーナーの濱田さんと栄ちゃんさんが釣りたての魚とマリーナ敷地内の山菜、ハーブを使って、すべての料理を作ってくれました。
【メニュー】
各種お刺身
自家製ピザ釜で焼いたオリジナルピッツア・各種トッピング
アカハタ・カサゴの煮つけ
アカハタ・メバルの天ぷら
アシタバの天ぷら
自家製ポッテトフライ
ガーリックトースト
仕上げは本物のブイヤベースとリゾット
友人がやっている食事処「凪」で釣りたてのヒラメのお刺身
研修医OBと花仁塾生が集う「秩父ミーティング」を下記の要領で6月4日(土)5日(日)に秩父ミューズパークにて開催します。
研修医制度発足以来、この10年間に当院で地域医療初期研修を行った先生方は今年度には100名近くに達します。皆さんはそれぞれのジャンル、環境の中で活躍していることと思います。この間、当院は5年前に秩父市内の中心地から現在の地に新築移転しました。移転の理由は一番に、スタッフが働きやすく、かつスタッフが集まってくる環境を作りたかったこと、二番目にヘリポートを備えたかったからです。
新病院も5年目を迎え、スタッフ、機器も充実し、じっくりと落ち着いた医療ができるようになってきました。
そんな中で、この10年を振り返った時、当院で一緒に学んだ皆さんと再会したい気持ちが自然と沸いてきました。新緑が鮮やかな秩父が最も輝く季節です。
是非とも秩父に来て下さい。待っています。
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