花輪理事長の独り言
立春も過ぎ、アトムとの散歩道には、蝋梅の香り、今日は福寿草が咲いていました。
季節は確実に春へ向かっていますが、私は冬の真っ只中です。
数年来の「地域の医師不足解消」への取り組み、特に2年前に大野知事に要望した「埼玉県医師育成奨学金の返済免除における公民の差別の解消」は、全く進展しません。
昨年末には、NHKクローズアップ現代、読売、毎日、産経、東京新聞の取材を受け、現場の実情をありのままに話しました。
秩父に限らず、医師の偏在により、地域医療が崩壊の危機にあることは明らかです。
今年1月末、上記奨学金の件について「秩父郡市医師会から知事に要望してほしい」とお願いしました。
このことは2019年の「ちちぶ医療協議会」以来、望んでいたことであり、最近も何度か医師会にお願いしていました。
結果は残念ながら、「否」でした。
ショックでした。悲しく、悔しいことでした。
「何故!?」が私のその時の正直な気持ちであり、今でも納得できません。
しかし、あれから数日経ち、もう秩父郡市医師会に私のいる場はないと痛感しました。
私のような、行政や知事に文句を言う者は、宜しくないのでしょう。
医師会の仲間に、こんなにも嫌われていたのかと思うと、情けない気持ちでいっぱいです。
「不徳の致すところ」――今の私にとっては、この言葉がふさわしいのかもしれません。
ただ、これだけは言えます。
『埼玉県医師育成奨学金制度の目的は、本県の地域医療における医師の地域偏在、診療科偏在を解消する』
確実に、秩父地域に限らず、地域の医師を確保する方法は、現在この制度に頼るしかありません。
秩父について言えば、現在まで二つの自治体病院に奨学金貸与者の派遣がないことから、
秩父病院のような民間病院まで対象とならなければ、地域医療は間違いなく崩壊します。
当院独自の医師確保の試みは、すべてやり尽くしました。
来年度からは、夜間二次救急輪番は残念ながら撤退せざるを得ません。
断腸の思いです。
ただ、昼間の救急診療は、救急車の受け入れも含め、今まで通り行います。
救急病院を辞めるのではありません。
市民の皆様には、ぜひともご理解のほどお願い申し上げます。
2025年2月4日 秩父病院 花輪 峰夫
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