花輪理事長の独り言
本日より埼玉県を含め東京、神奈川、千葉、北海道の国の緊急事態宣言が解除となった。感染者の報告は確実に減少傾向であるが、専門家の予測では、第二波、第三派が来る可能性が高いという。このウイルスの特徴である、
① 8割が軽症または全く症状がない ②無症状の感染者も感染力がある ③感染力が強い ④重症化のスピードが速い、等を考えると、まったく安心はできない。
たとえ感染者の報告が0となっても、すべての国民に検査を行っている訳ではなく、ウイルスは生体内に確実に生きて行くのであるから、何時感染の波が来るか分からないのである。
さらに、最近では、医療従事者の感染や院内感染が問題となっている。医療従事者が感染のリスクが高いことは当然であるが、近郊での院内感染は不安を募らせる。用心に越したことはない。
当院では5月20日に、救急玄関横に陰圧感染症用テントを準備した。
さらに、5月23日より、入院患者さん全員にPCR検査等を行うこととした。抗原検査も準備が整い次第、入院が必要な救急患者さんに行う予定である。
感染リスクの高い歯科や検査、疑い患者さんには完全防護体制で臨んでいる。
可能な限りの感染防止対策を行い、院内感染を防ぐ努力をしている。
5月18日より、検診・人偏ドッグを再開、歯科診療も平常に戻した。
当院は
2月初旬より発熱外来を始め、その後4月末に感染者専用病床を1床
5月6日の連休明けより3床とした。
5月14日から帰国者接触者外来を開始した。
感染者専用病床には、ほとんど毎日、肺炎を伴う『PCR検査結果待ちの患者さん』が入院
している。幸い現時点で感染者は出ていない。
老人施設や救急車での来院も多く、高齢の重傷者、要介護者が多い。5月14日現在、満床である。担当の看護師は肉体的にも精神的にも大変である。
14日には発熱・救急外来から直接感染専用病床に運ぶルートを作った。幸い当院は木
造平屋でスペースに余裕があり、どこにでも窓がある。三蜜を防ぐには適している。病棟の
廊下の両端は開閉できる掃き出し窓があり、少しの段差で外に通じている。職員が手作りの
スロープを作り、これが可能となった。
帰国者接触者外来とは何か? 埼玉県では、以下のようになっている。
患者さんがコロナ感染を心配した場合、まず直接に医療機関に受診するのではなく、
まず「埼玉県新型コロナウイルス感染症県民サポートセンター(Tel:0570-783-770)」に
連絡相談後、疑い事例の場合には、さらに「帰国者・接触者センター(保健所)」の指示
を受ける必要がある。その後、受診調整を行い、初めて「帰国者接触者外来」紹介となる。
「帰国者接触者外来」は一般患者さんとの分離等、一定の基準を満たしていなければなら
ないいが、行政が行うPCR検査に加えて、民間のPCR検査が可能である。加えて、新し
く認可された簡易抗原検査もいずれ可能となるらしいとのこと。
PCR検査の数が日本は諸外国に比べて極端に少ないといわれ、首相や厚生労働大臣は
どんどん増やす体制を作ると言っているが、現在のところ「コロナ感染が心配」との理由だ
けでは、PCR検査はできない。あくまで医師の診察の結果で検査が必要と判断された場合
のみ検査が出来ることをご理解頂きたい。なるほど現状では、風邪の患者さんにPCR検査
をやっていたら、必要な患者さんに出来なくなるであろう。
当院では、発熱外来及び帰国者接触者外来の担当者に医師会や大学からの非常勤医師、加え
て、初期研修医も講習を行い全員参加体制で当たっている。
休止していた検診・人間ドッグも再開予定で準備中である。歯科についても、5月14日よ
り一層の防護体制を整え、受診抑制を解除した。
これらの体制により感染患者の来院が増え、職員の感染や院内感染のリスクが増すことは
十分に考えられるが、より一層の防護体制の強化と入院時検査等の充実を図り、絶対に院内
感染をださずに、コロナと正面から戦わなければならない。今、病院全体の意識が一つにな
ったと感じている。
2020年2月よりは、新型コロナウイルスに振り回されている。幸い当地域では、地元に起因する感染はなく、2020年5月9日現在、感染者の入院もないが、疑い患者さんは毎日来院する。
当院の新型コロナ対策の実際を紹介する。
当院は玄関先にブースを設け、来院者全員の検温と詳細な問診表への申告を行っている。発熱者や問診項目に問題がある方には、普段は救急車の患者さんを受け入れる救急外来で個別に対処している。
具体的には、自家用車で来院した患者さんについては、車での待機をお願いし、
車での来院でない方は、救急玄関脇に病院のワンボックスカーを準備し、ここで待機してもらっている。
担当医師と看護師は当番制として、私も参加しているが、可能な限り少数で対処し、当然防護体制で行っている。
風除室に陰圧テントを一基、救急室はゾーニングを行い、陰圧テントを別に一基備えている。患者さんとの連絡は携帯電話で行い、歩行可能な方は風除室のテント内で診察、ストレッチャーの方は救急室内のテントに収容し診察、治療、モニターリングを行う。ケースによるが、医師が待機中の車まで出向き、新たな問診と簡単な診察を行い、来院の経緯、状況、大まかな様態をチェックすることもある。
必要により血液検査、PCR検査を行うが、CT等画像検査が必要な場合は放射線技師が防護着を着こみ、検査室まで運び検査を行っている。
入院が必要と診断された患者さんは、決められたルートで隔離病室に収容し、可能な限り一般患者さんとの接触を避けている。
現在当院では病棟の一角を感染症区域として、個室5室これに充て、この内の2床を準備・機材とスタッフの着替え・休憩室とし、3床を感染症病床として準備し、可能な限り一般病床との隔離を図っている。
現在最も頭を悩ましていることが二つある、一つは入院が必要な新型コロナウイルス感染症疑い患者さんへの対処である。当然PCR検査を行うが、結果が出るのに1日半から2日を要する。これでも大分早くなったが、この間の看護が大変である。疑い患者さんと言えども、感染者と同様の看護、治療を行わなければならない。当然看護師、医師は完全防護体制であり、いったんレッドゾーン区域に入るとトイレ一つにしても大変である。しかも、感染の意味からも人員数の面からも、可能な限り少人数で対処しなければならないので、必然、緊張・拘束時間は長くなる。
もう一つは全くコロナ感染が疑われない患者さんの入院である。例えば緊急手術患者の感染の有無は現状では検査できないのである。新型コロナ感染者の実に80%が軽症あるいは無症状という。現場の思いとしては、新規の全入院患者さんへのPCR検査が望ましい。それでなければ院内感染を100%防ぐことはできないであろう。
ともかく、新型コロナウイルス感染症対策におけるストレスの中で、看護師・医師はじめ、スタッフ全員の献身的な仕事ぶりは、院長としてありがたく、頭の下がる思いである。
当院は当分の間、学会の指導もあり、検診・人間ドッグを休止している。また、歯科は救急患者を除き、診療制限を行っている。
一方で、可能な限り、一般の診療、手術、検査は続けて行くつもりである。何も患者さんはコロナ関係患者さんだけではない、要緊急手術患者・重症救急患者・癌患者等は命に係わるという意味では、当然コロナ感染者より重篤である。致死率はコロナ患者の比ではない。
コロナ如きに地域医療を崩壊させてはならない。地域の中核病院としての自負と気概を持って、最大限の努力を辞さないつもりである。
昨年11月に臨床外科学会参加の報告以来、院長ブログはご無沙汰であった。これは日本医科大学スキー部の50周年記念誌の作成とスキー部ホームページ作成のため、とても時間的余裕がなかったためである。やっと軌道に乗りはじめ、ホームページは未完成ではあるが公開された。
ご興味のある方は、「日本医科大学スキー部」で検索して頂き、ご覧いただきたい
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