花輪理事長の独り言
埼玉県知事、議長様への要望、今日の毎日新聞の朝刊に載りました。
振り返って、12年前に私が秩父郡市医師会長であった時期にすでに、埼玉県医師会と県保健医療部に『地域の医師不足に対する思案』を提言して、審議検討をお願いしていました。
医師の地域偏在・診療科偏在については、学会等で何度か発信をしています。
これらは、今回、資料として知事等に提出しました。
今回の奨学金制度についても、3年前の『秩父医療協議会』で、奨学金返済免除指定病院が、公的公立病院に限ること、に納得出来ず、県に回答を求めていました。
理由は以下のものです。
1.この制度は、条例・規則を制定して運営している
2.その原資は埼玉県全体の税金で賄われている
3.公的医療機関は地域を担う中心的存在である
4.不採算医療を担っている
私はこの時点で、今回の様な県への要望を検討しましたが、コロナ禍等て、果たされませんでした。
今回、5月以来、全県的に多くの医療機関の先生方に電話でご意見を伺い、その全員の42施設から賛同をいただき、「埼玉県の地域医療を守る会・仮称」を立ち上げました。電話での感触と結果から、まだまだ多くの医療機関の賛同が得られると確信しています。
今後の私の仕事の一つ『地域医療現場から埼玉県への提言』について報告します。
2022年11月25日
埼玉県知事および埼玉県議会議長に42医療機関の賛同書を添えて、以下の要望を行いました。
同席者は要望にご理解、支援いただいている6名の県会議員様、賛同者を代表して本庄市児玉郡医師会長の鈴木和喜先生、埼玉県医師会副会長の丸木雄一先生と私の9名です。
埼玉県の地域医療における医師確保政策についての要望
『埼玉県医師育成奨学金制度』における返済免除指定病院の要件変更について
埼玉県の医師確保対策である医師育成奨学金制度における奨学金免除要件は、医師免除取得後、埼玉県内の医師不足地域の公的公立病院での9年間の勤務と定められておりますが、本要件の変更を要望致します。
要望内容
1.民間病院においても下記の内、一項でも満たせば「奨学金免除指定病院」とすること
①協力型臨床研修病院であること
②日本専門医機構が指定する19領域の関 連病院又は協力病院であること
③救急告示病院であること
④一定数以上の分娩実施施設(診療所を含む、知事が指定した施設)であること
⑤その他、知事が指定した病院であること
※上記要件を満たさなくなった場合は指定解除とすること
※随時見直しを行うこと
2.特定地域について
特定地域は、将来的には、生活圏、医療機能分担等を配慮し決定すること
要望理由
①民間病院においても不採算医療と言える地域の救急医療や若手医師教育等、中核的機能を担っている病院もあるため
②奨学金対象者の地域医療の実践とその後の地域定着には、モチベーションが極めて重要であり、指導体制と専門医の取得等に十分配慮する必要がある。彼らにとって選択できる、魅力ある医療機関が少しでも多いことが望まれるため
③医師の地域偏在・診療科偏在の解消には様々な要因を検討する必要があり、本奨学金制度も地域の実情に即した施策が必須であるため
地域医療においても、公民間の役割分担は必要であるが、現状を直視した時、地域医療を守る上で、公民の差別は決してあってはならないと考えます。
以上
本要望に、ご賛同頂いた方々の賛同書を添えて提出致します。
埼玉県の地域医療を守る会
代表 花輪 峰夫
令和4年11月1日に秩父広域市町村圏組合議会議員の研修会にお呼び頂き、講演をさせていただきました。1市4町の議員様にも参加して頂き多くの方々に私の話を聞いていただいたことは、大変名誉なことでありました。お骨折り頂いた、木村議長様はじめ、事務局の方々、参加頂いた議員様に感謝申し上げます。講演内容はこちらをクリックしてください。(PDFファイル)
講演内容:管外への転院搬送の現状、及び、地域医療の課題(令和4年11月1日秩父市役所4階)
補足資料
①令和2年度「知って得する健康講座」大腸がん検診のススメ-あなたを救い家族を守るがん検診-(動画)
②ABC検診 (リンクをクリックするとPDFが開きます。2MB)
③中学生ピロリ菌 検査 と除菌治療 自治体向けマニュアル_221028_121928
(リンクをクリックするとPDFが開きます。1.2MB)
①令和2年度「知って得する健康講座」大腸がん検診のススメ-あなたを救い家族を守るがん検診-
②ABC検診 (リンクをクリックするとPDFが開きます。2MB)
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今年(2022年)3月で院長を退任しました。4月1日から、医者卒業旅行として、東海道五拾三次(日本橋から京都三条 約450km)を約1ヵ月かけて一人で歩きました。半世紀やって来た仕事を吹っ切り、次の何かを探すつもりの旅でしたが、医療者として、やり残した宿題が三つ有ることに気づいてしまいました。
それは秩父地域の問題と課題
『地域の進行癌の撲滅』 ※がん検診受診率の向上
『地域の医師の確保と若手 医師の教育』 ※奨学金制度の問題
『健康寿命の延長』 ※特定検診(メタボ検診)人間ドック等の検査の活かし方
まず『地域の進行癌の撲滅』についてお聞き下さい。
日本人の死因の一位は癌ですが、早く見つけさえすれば、癌ではまず死にません。
私の秩父での外科医としての経験、印象は、あまりにも進行癌や末期癌が多いことです。つまりは、治らない癌、あるいは再発の危険がある癌が多いという事です。医師として残念でなりません。
検診の充実と工夫が必要です。その前に個人の自覚、健康への意識、癌という病気の知識と理解が必要です。
また、当地域の『がん検診受診率』が低いことも問題です。全国的に見て、埼玉県は低くのですが、その中でも、バラツキはありますが、極端に低いところもあります。(画像をご覧ください)行政と我々医療者の啓蒙活動が必要です。
医療は日々進歩しています。例えば、早期に見つかった胃癌や大腸癌は、内視鏡で治せます。検査も、より安価で、簡易的に、有効に行える方法が開発されています。
しかし、残念ながら、全ての癌に対して、あるいは、全ての国民に、検査を行うことは現実的には不可能です。
私は、まず胃癌と大腸癌に注目したいと考えます。大腸癌は今急速に増えています。
便の潜血検査キットは郵送で送れます。
ほとんどの胃癌の原因はピロリ菌と判明しました。ABC検診、血液検査のみで、胃癌になり易いか否かがわかります。(リスク検診)
当院は7年前にこの検診を秩父病院の臨床研究として無料で実施し、医師会や秩父市等に提案しましたが、実現しませんでした。今度こそ、皆さまのご理解とご協力を得て、秩父郡市に、時代に則した、システムが構築される事を願っております。
次に『地域の医師の確保と若手医師の教育』ですが、埼玉県は人口当たりの医師の数は全国で最下位です。しかも、地域による医師偏在は顕著で、我が秩父地域の医師数は最低レベルです。
地域医療の質は当然、医師数と医師の個々の能力に左右されると言っても過言ではありません。
埼玉県では医師確保のために幾つかの対策をやっています。大学病院の誘致計画や、医師育成奨学金制度などです。県内の医師偏在についても、秩父地域のような、医師不足地域(特定地域)を指定して、優先的に医師を派遣する対策を行なっています。しかし、何故か『派遣先病院は公的公立病院に限る』のです。奨学金の返済免除要件も、『埼玉県県内の特定地域の公的公立病院で、9 年間勤務すること』なのです。これは、自治医科大学卒業生についても同じです。
私にはまったく納得できない制度です。
医師教育と言う視点から、医師が育って行く上で、重要なことは、様々な環境で修練すること。つまり、私は、公立病院だけの研修ではダメである。民間病院の医療や気風にも触れるべきであると思っています。
また、現行制度には、彼ら若手医師のキャリア形成、目指す専門科の専門医資格への配慮が全くありません。私は今、埼玉県や県医師会に出向き、あるいはメール等で、私の思いをお伝えしています。
私は、この制度、条例、規則は、『公と民の差別』と認識しております。県議会での議論を期待し、県会議員様達にお願いしているところです。秩父地域医療にとって大事なことと考えています。
最後に『健康寿命の延長』です。
がん検診を始め、特定健診(メタボ検診)人間ドック等の検査結果をどう生かすかと、自己の健康管理に尽きると思います。具体的には、運動と食事、栄養管理でしょうか。
健康寿命の裏返しに『ピンピンコロリ』と言う言葉があります。
秩父病院で『死に方』についての講演をしてもらったことがあります。講師は『人は必ず死ぬのですが、皆さんはどんな死に方をしたいですか』と尋ねてきました。日々様々な死を見ている我々は、いきなりの質問に戸惑いました。院長はどうですか?私はとっさに、心筋梗塞と答えました。私は終末期の患者さんと家族の関係、それぞれの感情の移り変わり、様相を知っています。実に様々ですが、家族が疲弊して行く様子は共通しています。心筋梗塞としたのは、苦しまずにコロッと死に、家族にあまり迷惑をかけないと考えたからです。『院長、今は心筋梗塞もそう簡単には死なない。リハビリ、介護が必要となりますよ』確かにそうだ。外科部長は癌と答えました。彼は、『癌は診断されてから死ぬまで時間ある。だから色々と考えることができる』と言いました。私は正直、驚きました。偉いとも思いました。彼は癌の専門医でもあります。若い後輩に諭された気がしました。
どんな生き方、どんな死に方をするか?
そんなことを考える事も、健康寿命の延長に繋がるかも知れません。
これらを実現するべく、様々な方面の皆様と日々お話をしております。是非とも共感していただけるようでしたら応援をお願いいたします。
ぜひfecebookもご覧ください。
3年ぶりに新入職員の歓迎会ができました。コロナ禍の閉塞感を払拭しました。公園橋下、
Chichibu farm stayというオートキャンプ場で、バーベキューケータリングパーティー、
(TEXAS SMOKING BRREL)をやりました。
皆の心がけが良かったためか?コロナと戦ったご褒美か?梅雨の長雨がピタッと止み、晴れました。しかし、午後に雷雨・大雨となりました。それでも、我々は少しも慌てません。1年前のワクチン1000人接種プロジェクトでの同じ状況を思い出しました。経験者はテントの支柱を抑え、あの時は、ワクチンを、今回は素晴らしい料理を、完璧に守り抜きました。その後天気は急速に回復し快晴となり、久しぶりの解放感の中で、気持ちよく飲み、喰いました。これが普通なのです。おかしな世界からは、もうさよならしましょう。
ぜひfecebookもご覧ください。
東海道の旅の終わりころ、病院から電話が入り『毎日新聞から取材の依頼が来ています。地域への医師派遣について』とのこと。貧乏性なのでしょうか、帰った後に予定ができたことにホッとしました。連休明けのある日、取材を受けましたが、順天堂大学病院の県南地域への誘致についての取材でした。誘致の条件の一つが『県内の医師不足地域への医師派遣』とのこと。そんなこと、初めて知りました。現場が全く知らないところで勝手に何か動いている、少し腹が立ちました。多分、県は『私どものような民間病院』には情報を出さないのでしょう
院長室の片付けをしていて、すっかり忘れていた一枚の書類が目にとまりました。『秩父群市医師会長立候補辞退届け』です。そこに何故再び立候補したのか、その理由が書いてありました。それは医師として、あるいは医師会の役員、医師会長として四半世紀取り組み、出来なかった、やり残した事『進行癌の撲滅と、地域を担う医師の確保』をやりたい、と書いていました。『なんだ、今考えていることと全く同じじゃないか。俺って全く進歩しないんだ』と自分でも笑ってしまいました。3年前と今年の秩父医療協議会でも、『医師確保、埼玉県医師育成奨学金の返還免除要件の不平等』について進言しています。3年前の協議会では、秩父医療協議会名で、県等に要望書の提出を要請しましたが、却下されています。今年は再度の要請を申し出ています。
医者を卒業した私は、そんなことはすっかり忘れていました。東海道の旅もそんなことを忘れるためのものでもありました。しかし、毎日新聞のインタビューがくすぶっていた私の心に火を付けました。おさまっていた腹の虫が動き出しました。今後の私の生き方、多少残っているエネルギーの使い方が少し見えてきました。
現在、私は、埼玉県保健医療部や県医師会に、私なりの考えをお話ししています。
埼玉県は全国的に見て人口10万人あたりの医師数が全国最低です。その中で地域格差、つまり埼玉県の北部、利根地域、そして我々の西部(秩父)は極端な医師不足地域です。
埼玉県ではこれら地域格差を解消するため、いくつかの施策を行っています。
その一つが埼玉県医師育成奨学金制度です。この制度は『将来医師として埼玉県の地域医療に貢献したい』と考えている「埼玉県出身の医学生(県外医学生奨学金)」や「指定大学の医学生(地域枠医学生奨学金)」に奨学金を貸与しています。
私は素晴らしい施策であると思います。
しかし私がどうしても許せないのは、『この奨学金の返還が免除されるためには、特定地域(医師不足地域)の公的医療機関に勤務しなければならない』と言うことです。『民間病院での勤務は返還免除の対象にならない』のです。今時、こんな時代錯誤の差別があって良いのでしょうか。これは私が一貫して言い続けていることです。
行政の言い分は『公的病院が不採算医療をはじめ地域の中核を担う医療機関としてその役割を与えられているためです』とのこと。『役割=義務を与えられている』のであれば、その通りであります。そもそも、医療は営利を目的とするものではありません。行政の言う不採算医療とは、例えば無医地区の医療などを言うのでしょうが、救急医療、災害時の医療、今回の新型コロナ感染症に対する検査、発熱外来診療や感染者に対する入院治療等も、私はこの範疇に含まれると考えます。不採算医療は公的病院のみが担っているわけでは決してありません。
それでは中核病院とはどのような病院を指すのでしょうか?公的病院はすべからく中核病院でありましょうか?
この奨学金制度の本来の目的は医師不足地域の医師確保、不足診療科の医師の確保であると承知しています。
重要なことが忘れられています。それは奨学金対象者の心情、希望を含めた状況を知ること。同時に、勤務先の地域医療の実情を知ること。さらに、奨学金免除指定病院の医療内容、学会修練施設等の有無の把握であります。魅力ない病院、地域には人材は集まりません。当事者達を置き去りにした施策は意味がありません。私は『若手医師にとって魅力のある病院とは継続的に専門性のある指導医がいること。各学会の専門医資格のキャリアを取得できること』が指定病院の条件と考えます。それがすなわち中核病院であると考えます。
私はこのことを広く訴え続けてまいります。目的達成を拒むような『条例』であれば変える必要があります。今、埼玉県医師会では医師の地域偏在を無くす施策が進んでいるようです。
県医師会、埼玉県医療審議会、埼玉県議会での十分な議論を期待します。
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