花輪理事長の独り言
第117回日本外科学会定期学術集会
先のブログでも紹介しましたが、第117回日本外科学会定期学術集会で発表して来ました。
今回は4月27日(木)~4月29日(土)までの3日間、横浜で開催され、当院よりは大野哲郎先生、守麻理子先生の2演題が採用され、私は指定演者として発表しました。
大野先生は「外科医主導で行う臨床研究―埼玉県秩父市における胃がんリスクABC検診―」守先生は「地域の中核を担う二次救急病院での外科医としての役割」ポスターセッションで発表しました。
大野先生の発表では秩父地域では、がん検診の受診率が低いこと、現状の透視検査診より診断度ABC検診(囲い込み検診)が、診断制度、効率、費用面において優れていることを訴え、臨床研究として当院独自の負担で行ったこの検診が、住民・自治体・医師会への啓蒙に通じ、いずれ自治体主導になることを期待したものです。
私は、詳しい検証はしていませんが、当地域には胃がん、大腸がんとも進行、末期がんが多いことを肌で感じています。この発表が秩父地域のがん検診を進化させ、がんの早期発見に繋がることを祈っています。
守先生の発表は大変好評でした。発表態度も堂堂とし、内容も興味を持たれたようです。「外科医が行う救急医療」と言うジャンルは今なんとなく忘れ去られていると、私は感じています。救急は救急専門医の分野であって、今の外科の注目は専門特化、臓器別、鏡視下、様々なデバイスなどであります。そんな中で、斬新に映ったのではないでしょうか。また、病院併設のヘリポートの役割も理解されたようです。
私は、特に地域医療においては、外科医の役割の半分は救急外科医療と思っており、これがあたりまえの一般外科と思っています。
さて、私ですが、光栄なことに、学会前夜に行われた、拡大プログラム委員会に招待されました。これは前夜祭と言えますが、豪華絢爛でありました。懐かしい「チューリップ」と言うバンドの生演奏、私と同年代のシンガーソングライター財津和夫さんの歌で盛り上りました。桑野博行会頭の素晴らしい企画でありました。
私の発表はセッション5、特別企画 今こそ地域医療を考える
―都市と地方の外科医療と外科教育の格差を解消するにはーでありました。
これを受けて私は「研修医の視点に学ぶ格差解消への模索と地域医療の役割」と言う演題で講演しました。
特別セッションであり、会場は第1会場(メイン会場)・国立大ホールでした。さらに日本外科学会の専門医領域別講習セミナーであり、この受講は研修実績として外科学会専門医等の単位を取得できるため、大勢の聴講者が参加していました。
私と基調講演の自見はなこ参議院議員を除き、座長の先生方はじめ演者は3人とも大学の著明な外科学教授でありました。そんな中で、一地方外科医が最後の演者として講演する機会を得て大変光栄に感じ、精一杯お話しさせて頂きました。私が常日頃より感じていること、この45年間地域医療にどっぷりとつかって来て堆積した外科医としての思い。今の外科教育に抱いている問題点、研修医の視点、若い医師達への期待。言いたいことはあまりにも多くありました。
大変幸運、贅沢な時間でありましたが、何か一方通行の訴えになったのではと反省しています。
願わくば、もっともっと時間がほしかった。今の若い外科医たち、大学の指導者達とディスカッションしたかった思うのは欲張りでしょうか。多少の消化不良、欲求不満は残っていますが、今後この経験と講演内容を、若い人たちの教育に少しでも生かして行きたいと思っています。
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