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花輪理事長の独り言

『がん死の撲滅 6』花輪理事長の独り言(第23報)

『がん死の撲滅』
吉田松陰の言葉に「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に、夢なき者に成功なし」という名言があります。松陰に私が勝っているのは、年齢だけですが、『夢』だけは私も見ます(笑い)
ともかくやってみることにしました。
以下の如く、秩父市長と市議会議長に提言することにしました。
知人やFBの友達に、メッセンジャー・メールで「賛同して頂きたい」と呼びかけようと思っています。
提言に際し、賛同者の名簿を添えるつもりです。
以下をご覧いただき、ご賛同頂けた場合は、メッセンジャーで『賛同の意思』を頂きたく存じます。ご賛同頂ける場合は、氏名、できればお仕事、役職等もお願いできると幸いです。
*情報は、今回の秩父市への提言以外には使用致しませんことをお約束いたします
はじめに
日頃より、秩父地域医療の充実、特に秩父市立病院の救急医療に対する貢献に、一市民と
して、一医療者として、心より感謝申し上げます。
日本では、1年間で約 100 万人が、がんに罹患し、約38 万人の方が「がん」で亡くなっ
ています(国立がんセンター・最新統計) *死亡率 38%
一方、新型コロナウイルス感染症の約 3 年間の累計感染者は 3287 万 2969 人、死者数は
7 万 185 人(2023 年 2 月 9 日現在)であります。 *死亡率 0.21%
日本人は一生のうち、2 人に 1 人はがんと診断され、男性は 4 人に 1 人、女性は 6 人に 1
人は、がんで死にます
秩父市においても、40~74歳の死因の約4割が「がん」であります。
日本のがん検診は、昭和 58 年(1983 年)から老人保健法により対策型検診が開始されま
した。当初胃がん・子宮頸がんのみでしたが、順次追加され、平成 10 年に、胃がん、肺が
ん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんの、いわゆる「5がん検診」の基盤となる「がん予防重
点健康教育及びがん検診実施のための指針」が策定されました。
その後、乳がん検診はマンモグラフィの導入、胃がん検診に胃内視鏡検査の導入、または
対象年齢の変更等、順次多少の検診内容の改定がありました。しかし、肺がん検診における
胸部単純 X 線撮影の如く、早期発見は無理である検査が、未だ実施されており、医学的に
見て、がん検診に大きな進歩は見られません。
胃がんは、その発生原因がほぼ判明し、予防や個人の胃がん発生リスクの判定も可能とな
ったにもかかわらず、被爆を伴うバリウム透視検査や、多少の苦痛やリスクを伴う内視鏡検
査が行われております。これは、費用対効果の面からも適切ではありません。また、リスク
検診(ABC 検診)が血液採取のみで済む、に対し、簡便性で劣り、受診率の低下にも繋が
っています。
近年、食の欧米化等に伴い、大腸がんが急速に増え続けています。日本人の死因の第 1 位
はがんであることは、周知の通りですが、直近のデータでは、男女総数の 1 位は肺がん、2
位は大腸がんです。女性の死因の 1 位は大腸がんであることは、多くの国民が知らないこ
とと思います。また、「膵臓がん」が増えていることも憂慮すべきことです。
国は「科学的根拠に基づくがん検診実施のための指針」を定め、市町村による実施を推進
しており、秩父市においても、これに沿って検診を実施しております。
現状のがん死の実態を直視すると、「科学的根拠に基づくがん検診」に疑問を感じざるを
得ません。現状の検診の無力さを感じます。
例えば、ピロリ菌感染が胃がんのリスクファクターであることは、数多くの基礎実験、臨
床研究により実証されており、1994 年世界保健機構(WHO)は、ヘリコバクター・ピロリ
を胃がんの確実発がん因子とし、B 型・C 型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、タバ
コやアスベストと同じ、最高の危険性を示す「グループ1」に分類されております。これは
「科学的根拠」であります。
中学生にピロリ菌検査を行い、陽性者を除菌する方法は、すでに複数の自治体で行われ
ています。これを全国的に行えば、20 年~30 年後には、日本から胃がんは無くなるであり
ましょう。
真の科学的根拠に基づき、科学・医学の進歩に即した検診が行われるべきであります。
国もこれは当然承知の上で、多少の指針の改正は行っていますが、大きな改善を行ってい
ません。国は、地域による医療水準の格差や地域的不平等、様々な問題を配慮し、「がん検
診」の方法はそれぞれの自治体の裁量によるとしていることは理解できます。しかし、費用
の問題なのか、官僚組織の慣例・医療行政の体質なのかわかりませんが、国の指針はあまり
にも緩慢で、かつ問題意識に欠けると言わざるを得ません。言い換えれば、「進歩のないが
ん検診の指針」を市町村に丸投げしているとも言えます。私は、国の怠慢と責任回避は否め
ないと考えますが、秩父市として、果たして、現状のままで良いのでしょうか?
すべてを理解した上で、秩父市には、市民のために可能な限り、「科学的根拠に基づく検診」
を実行してもらいたいと思います。
国民の医療費・市民の医療費を考える時、早期発見・早期治療・がん予防がどれ程の医
療費の削減に繋がるでしょうか。働き盛りの人たちが逝ってしまって、どれ程の生産性、エ
ネルギーが失われるのでしょうか。人の未来の喪失と社会全体の損失は想像もつかぬほど
大きなものです。『国策・市策としてのがん対策の充実』は喫緊の課題と考えます。
私の 50 年間の医師人生で、なんと多くの手遅れのがん患者さんを診たことか、悔しくて
なりません。
『現状の「がん検診」は医学・医療の進歩を活かしておらず、がんの発生現状・推移等を
全く考慮していないと言わざるを得ません』
一方、がん検診の受診率は低水準のまま、一向に向上しません。日本のがん検診の受診率
は国際的に極端に低く、目標が 50%にもかかわらず、アメリカ・イギリスの約 80%に比し
て、40%と低迷しています。そして、秩父市の受診率は全国の最低レベルです
『がんは早期発見、早期治療すればまず死なない病気である。原因が判明したがんもあり、
予防も可能となったがんもある』
このことを全市民に知ってもらう必要があります。
国も、地方自治体も、私を含む医療関係者も、市民に最大限の啓蒙活動をしてきたでしょ
うか?
今回、費用対効果と実現性も十分に考慮した上で、喫緊の課題である「大腸がん検診」と
「胃がん検診」について、現状の検査内容の改善、受診率の向上のための試案を提言します。
併せて、がんの経時的推移・傾向から、長期的視野に立った将来的提案を致します。
秩父市の施策が発端となり、少しずつでも日本中に広がり、がんや生活習慣病についての
知識、自身の健康についての意識が変わっていくことを願っております。
    がん検診の改善と受診率の向上に対する提言
1,がん検診の改善
1) 胃がん検診の検査方法を ABC 検診(リスク検診)へ変更
2) 特定健康診査・健康診査に大腸がん検診(便潜血検査)を加える
3) 大腸がんの急増を考え、便潜血検査の検査キットの配布は、現状の保健センターの
みならず、管内医療機関、調剤薬局、公民館等、適切と思われる多くの施設での配
布を可能とする
4) 大腸がん(便潜血検査)のための市の予算の増額
2,受診率の向上および啓蒙活動
1)秩父市に「がん検診の受診率向上」の専門部署を作るか、保健センターの職員の増
強等を図ること
2)秩父市立病院に「がん対策および啓蒙」の専門部署を設置すること
3)秩父市の広報による啓蒙
4)秩父 FM ラジオによる広報
5)SNS による広報
6)市民レベルの啓蒙
7)市役所の職員の啓蒙
8)議員の啓蒙
10)医療者の啓蒙
11)がん患者およびその家族のへの啓蒙
12)即時、秩父市の事業としての「がん検診」の予算の試算を行うこと
13)対策型がん検診以外のがん検診(人間ドッグ等の任意検診・職場検診の推奨・啓蒙)
14) 専門医師・保健師による、乳がんの自己検診(触診)を習慣づけるよう啓蒙・指導
を行うこと
15)専門家(医師・保健師等)による講演活動を頻回に行うこと
16)がん罹患者・経験者・抗がん剤治療経験者、そのご家族等の体験講演を行うこと
3,将来に向けて
1)中学生を対象のヘリコバクターピロリ菌検査の実施
2)必ず、次年度に、市秩父の「がん検診の予算」を増額すること
3)肺がん検診は胸部CT検査とすること
4)子宮頸がん検診に対するワクチン接種を再検討すること
5)便潜血検査は簡便性を生かし、毎年 1 回 40 歳以上の市民全員に行うよう努力する
こと。
6)定期的にがん専門医と意見交換をすること
以上、本提言に賛同頂いた方々の名簿をそえて提出いたします。
医療法人花仁会秩父病院 理事長 花輪 峰夫

プロフィール
秩父病院理事長 花輪 峰夫

秩父病院理事長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

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