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花輪理事長の独り言

花輪の独り言。第二報

東海道の旅の終わりころ、病院から電話が入り『毎日新聞から取材の依頼が来ています。地域への医師派遣について』とのこと。貧乏性なのでしょうか、帰った後に予定ができたことにホッとしました。連休明けのある日、取材を受けましたが、順天堂大学病院の県南地域への誘致についての取材でした。誘致の条件の一つが『県内の医師不足地域への医師派遣』とのこと。そんなこと、初めて知りました。現場が全く知らないところで勝手に何か動いている、少し腹が立ちました。多分、県は『私どものような民間病院』には情報を出さないのでしょう

院長室の片付けをしていて、すっかり忘れていた一枚の書類が目にとまりました。『秩父群市医師会長立候補辞退届け』です。そこに何故再び立候補したのか、その理由が書いてありました。それは医師として、あるいは医師会の役員、医師会長として四半世紀取り組み、出来なかった、やり残した事『進行癌の撲滅と、地域を担う医師の確保』をやりたい、と書いていました。『なんだ、今考えていることと全く同じじゃないか。俺って全く進歩しないんだ』と自分でも笑ってしまいました。3年前と今年の秩父医療協議会でも、『医師確保、埼玉県医師育成奨学金の返還免除要件の不平等』について進言しています。3年前の協議会では、秩父医療協議会名で、県等に要望書の提出を要請しましたが、却下されています。今年は再度の要請を申し出ています。

 

医者を卒業した私は、そんなことはすっかり忘れていました。東海道の旅もそんなことを忘れるためのものでもありました。しかし、毎日新聞のインタビューがくすぶっていた私の心に火を付けました。おさまっていた腹の虫が動き出しました。今後の私の生き方、多少残っているエネルギーの使い方が少し見えてきました。

 

現在、私は、埼玉県保健医療部や県医師会に、私なりの考えをお話ししています。

埼玉県は全国的に見て人口10万人あたりの医師数が全国最低です。その中で地域格差、つまり埼玉県の北部、利根地域、そして我々の西部(秩父)は極端な医師不足地域です。

埼玉県ではこれら地域格差を解消するため、いくつかの施策を行っています。

その一つが埼玉県医師育成奨学金制度です。この制度は『将来医師として埼玉県の地域医療に貢献したい』と考えている「埼玉県出身の医学生(県外医学生奨学金)」や「指定大学の医学生(地域枠医学生奨学金)」に奨学金を貸与しています。

私は素晴らしい施策であると思います。

しかし私がどうしても許せないのは、『この奨学金の返還が免除されるためには、特定地域(医師不足地域)の公的医療機関に勤務しなければならない』と言うことです。『民間病院での勤務は返還免除の対象にならない』のです。今時、こんな時代錯誤の差別があって良いのでしょうか。これは私が一貫して言い続けていることです。

行政の言い分は『公的病院が不採算医療をはじめ地域の中核を担う医療機関としてその役割を与えられているためです』とのこと。『役割=義務を与えられている』のであれば、その通りであります。そもそも、医療は営利を目的とするものではありません。行政の言う不採算医療とは、例えば無医地区の医療などを言うのでしょうが、救急医療、災害時の医療、今回の新型コロナ感染症に対する検査、発熱外来診療や感染者に対する入院治療等も、私はこの範疇に含まれると考えます。不採算医療は公的病院のみが担っているわけでは決してありません。

それでは中核病院とはどのような病院を指すのでしょうか?公的病院はすべからく中核病院でありましょうか?

この奨学金制度の本来の目的は医師不足地域の医師確保、不足診療科の医師の確保であると承知しています。

重要なことが忘れられています。それは奨学金対象者の心情、希望を含めた状況を知ること。同時に、勤務先の地域医療の実情を知ること。さらに、奨学金免除指定病院の医療内容、学会修練施設等の有無の把握であります。魅力ない病院、地域には人材は集まりません。当事者達を置き去りにした施策は意味がありません。私は『若手医師にとって魅力のある病院とは継続的に専門性のある指導医がいること。各学会の専門医資格のキャリアを取得できること』が指定病院の条件と考えます。それがすなわち中核病院であると考えます。

私はこのことを広く訴え続けてまいります。目的達成を拒むような『条例』であれば変える必要があります。今、埼玉県医師会では医師の地域偏在を無くす施策が進んでいるようです。

県医師会、埼玉県医療審議会、埼玉県議会での十分な議論を期待します。

 


プロフィール
秩父病院理事長 花輪 峰夫

秩父病院理事長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

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