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新型コロナウイルス感染・第13報(2021年6月30日)
新型コロナウイルス感染・第13報(2021年6月30日)
超高齢者に対する1000人接種
2021年6月27日(日)初めての1000人接種を行いました。正確には、3週間前に1回目を接種した、すべて85才以上504人に加え(2回目接種)、概ね80才以上の初回接種の504人の計1008人です。1000人超えという事で、多少の不安はありましたが、全く問題なくスムーズに終了しました。
6月6日の500人接種開始以来、反省と修正を重ねたことと、何より「天の時・地の利・人の和」に恵まれたことでしょう。この梅雨時、雨も降らず、暑くもありませんでしたが、孟子の教え通り、「人の和にしかず」・多くの人たちの協力のおかげでありました。
当院の職員を含む70名を超えるスタッフがこの日の接種に参加しました。約半数はボランティアの方々です。今回から、医師、看護師に加え、歯科医師会の先生方と当院の歯科医師が「打ち手」に加わりました。秩父薬剤師会、調剤薬局の先生に注射器へのワクチン分注を担って頂きました。この作業はかなり繊細で注意と根気が必要な作業です。ワクチンの知識が豊富な薬剤師が適任です。当院ではベテラン看護師もこの作業に加わります。
実際のワクチン接種は5つのブースで行いました。①病院玄関・救急入口・エントランススペースに配置した、ドライブスルーブース3箇所、②接種される方が自身で運転して来たケースに対応する完結型駐車場ブース、③タクシー、自転車、徒歩等で来院した方に対応する院内(外来)ブースの5箇所です。
問診は当院の医師、研修医に加え、医師会の先生方にもお願いしました。
各ブースには最低3人、できれば4人が必要です。①問診医 ②打ち手 ③補助(打ち手補助・本人確認・接種券へのシール貼り・接種後の注意・観察時間の指示・説明・次回接種の説明等々)
さらに、当院のドレイブスルー方式では屋外の作業があります。交通整理、敷地内待ち駐車場での車列の整理、各接種ブースへの誘導、接種後の観察専用駐車場への誘導をしなければなりません。もちろん接種後の観察と副反応への対応の準備もしています。加えて、車列での待ち時間を利用し、主に事務職員による予診票の確認作業があります。
実際には、完璧に記入された予診票を持ってくる人は少数です。体温、名前、接種希望の記載がないのは普通で、ほとんどの人は封筒のまま差し出します。従って、車列待ち時間での書類チェックはスムースな接種作業を行うためには必須です。これには当院の歯科衛生士等の歯科職員も参加しました。
車の誘導は、初回接種か2回目か、運転手自身の接種か否か、混雑具合による各ブースへの振り分け等、臨機応変の指示が必要となります。この屋外作業は最も体力を使い、きつい重労働であります。この作業に多くのボランティアの方々にご参加頂きました。もちろん、当院の若い事務員や私よりはかなり、あるいは少し若いスタッフ達も良く頑張りました。本当に頭の下がる思いであります。
打ち手のみならず、平沼会長はじめ秩父歯科医師会の先生方には、接種後の観察駐車場での見守りと案内を担って頂きました。熊木町会の方々、栗原所長はじめ秩父臨床医学研究所のスタッフ、職員家族、元職員、秩父メディカルフットネスのスタッフ、友人達、正に「人の和」がこのプロジェクトを可能にしました。
皆の一番の楽しみは昼食のお弁当です。長谷川歯科部長が担当となり、リクエストにもこたえ、市内の複数のレストラン、食事処に毎回オーダーしています。何種類かのお弁当選びはほっとするひと時で、疲れを忘れさせます。また、冷えた大量のスポーツ飲料等も市内の商店から直送してもらっています。終了時にはクーラーボックスは概ね空となります。
私が最も危惧したこと、それは超高齢者が自身で運転した来た場合です。今回の1008人の内半分は2回目接種の85歳以上、半分は初回接種の若干の70代後半を含む80代です。運転手も必ずしも若者ではありません。交通整理・誘導も一筋縄ではいきません。また、接種時に車のエンジンを停止するよう指示していますが、これも100%は守られません。アイドリングストップはブレーキを緩めると走り出します。電気自動車は全くエンジン音が聞こえません。私が最も心配であったのはこれらに関わる事故でありました。
大きな赤い旗を作成したり、車の前に決して出ない事、運転者を信じない事など、十分に注意を払った結果、幸い事故は今のところ起きていません。安堵しました。
一方で、秩父地域の高齢化と高齢者の生活の実態の一端を垣間見た思いです。
このように、ドライブスルー方式は多くの人材とエネルギーを使う負担の多い接種方式でありますが、振り返って、この方式でなければ接種できなかった、あるいは接種する機会がなかった高齢者が多いことを知りました。高齢者に対するドライブスルー方式のワクチン接種は大変有効であると確信できました。
副反応については、80代後半と90歳を超える4人の方が、嘔気、頭痛、めまい等を訴え、救急外来で経過観察・点滴等を行いましたが、ワクチン接種が原因かは不明です。いずれも1時間程度で回復され、帰宅されました。
当院は、今年(2021年)3月12日に最初に医療従事者への先行接種を開始して以来、現在までこれを続け、5月28日よりは並行して高齢者に対する接種を行っています。さらに、6月6日(日)より超高齢者に対し、毎日曜日にドライブスルー方式により500人・1000人の接種を続けています。また特別養護老人ホームの入所者と職員200名に対し出張接種も行いました。その接種総数は延べ6700回になります。
これらのすべての接種における、接種後から観察時間内に確認された明らかに副反応と診断した症例は5件です。いずれも若い方で、すべてに喉の違和感・胸部不快感を訴えました。その内一人は、四肢体幹に蕁麻疹様の発赤が見られ、安静・点滴・抗ヒスタミン剤投与を行いましたが、酸素化、意識、血圧に問題なく、エピネヒィリン投与には至りませんでした。一応「アナフラキシー」と診断しました。他の4人は安静ですぐに軽快、念のため二人に喉頭にボスミン加、生食スプレーを行いました。
予診票・問診について記載します。
現在まで二人の方の接種を見送りました。一人は「前日に飲酒し、その後全身に発赤出現、接種時にも発赤が続いていた」もう一人は「インフルエンザワクチン接種後に倦怠感あり」
との訴えで中止となりました。
その他、接種見送りを検討した事例は、予診の段階で蜂刺されによる「アナフラキシー」を、今回一人の方が「アナフラキシーショック(意識消失)・以後常にエピペン持参」の既往を申した3例があります。この3人は、本人の強い接種希望があり、万全の体制を整え、接種を行いました。いずれの方も問題なく終わりました。その他、37度5分位の発熱は何人かいましたが、本人の症状や体調を確認の上、30分の経過観察として接種しました。従って予診票・問診による接種見送りは今のところ2人のみです。
私の印象として、副反応の発生する確率はかなり低く、重篤な副反応はさらに少ない、十分な観察と副反応に対する準備をしていれば、多くは接種可能であると感じています。
当院では全ての接種ブースに医師・看護師を置き、緊急薬品と緊急連絡体制を整えています。
今回、テレビ朝日と医療情報サイト(m3.com)の取材を受けました。
ニュース番組やテレビ朝日ニュースサイトで配信されました。
コロナ収束に向けて、私たちの取り組みが、より迅速で大勢のワクチン接種への火種・刺激となることを心から願っています。
テレビ朝日でのニュース動画は下のリンクから見ることが出来ます。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000220647.html
| 更新時間 : 2021年6月30日 11:43