院長ブログ
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当院における他職種の実習生
当院における他職種の実習生
他職種連携、最近良く聞く言葉である。医療は多くのスタッフの連携が必要、すなわちチーム医療の重要性が叫ばれている。当院にも多くの実習生が来ている。特に夏休み期間中は多彩であった。
秩父看護専門学校
臨地実習は、年間を通じて当院での研修がある。1年生の病院見学程度のものから、2年生の慢性期、3年生の急性期の実習がある。当院の受け入れ態勢も看護学生実習指導者を毎年養成しており、計7名と充実してきた。私が主に関係するのは、手術患者の説明、麻酔、手術の解説や講義である。学校長を辞めて3年たったが、3年生は私が入学試験の面接、入学式の式辞をやったので、親しみがある。手術を見学している学生たちの目は真剣で美しい。
初期研修医
当院では研修医は即戦力となる。彼らの知識は素晴らしく、何でも吸収したいという意欲は初々しくて好感が持てる。どんどん教えてあげようという気持ちになり、スタッフ全員が全力で指導している。何でも吸収したい者と指導したい者、とってもいい関係である。指導する立場の我々が活性化されて行くのであるから、若い人の力は素晴らしい。すでに3人が学会発表を行った。内2人は論文を作成した。11月の埼玉県外科集団会には今研修している日本医科大学初期研修医の田邊智英君が発表予定である。私を含む常勤医師達も刺激されて、来年の埼玉県医学会総会、日本外科学会学術定期集会に演題を応募した。私は5年間温めていた「当院の腹壁瘢痕ヘルニアの術式」をまとめたので、発表してもらおうと思っている。
救急救命士
二次救急当番日に秩父消防の救急救命士が当院で研修している。救急車で運ばれてくる重症患者に対し、当院のスッタフと一体となった救命処置から一般救急外来の見学。救急患者の診断から治療に至る一連の流れを体験してもらっている。内視鏡をはじめ各種検査、主に全身麻酔下での手術の見学も行っている。秩父管内ではすでに30名を超える救急救命士が養成されたという。患者にとっても、救急病院にとっても重要な役割を担う救命士、適格なトリアージと高度な救急救命処置ができるよう、全員、個々のレベルをさらに高めて行ってもらいたい。
医療事務実習生
今回は熊谷にあるアルスコンピュータ専門学校の学生が二人当院で実習した。いつもリクルートスーツに身を包み、礼儀正しい女の子達であった。事務部門の実習だけでなく、放射線科や人間ドッグ、病棟や手術室の見学、体験を興味津々な眼差しで取り組んでいた。初めての手術見学も倒れることなくしっかりと見学していたので、ほっとした。頑張ってほしい。
皆野高校、農工高校、小鹿野高校の生徒が職場体験に来た。11月には影森中学生が来る予定。中学生は患者さんに接する場所でなく、いわゆる職場見学、社会授業である。将来、彼らの仕事選びの際に何らかの役に立つといいと思っている。今回の職場見学が刺激になり、できれば医療、看護の道に進んでくれればありがたい。高校生はほとんどが看護師希望の生徒であった。当院の医療現場に触れて、その意欲が膨らんでいくことを期待したい。看護師不足対策はこの年代より始めて行かなくてはいけない、気に入ってくれただろうか。
管理栄養士を目指す学生
今回初めて、女子栄養大学4年生1名の実習生を受け入れた。チーム医療の実際、糖尿病患者さんへの栄養相談の実際を学びたいとのこと。管理栄養士が病棟に出向き患者さんや他職種とコミュニケーションをとることで情報を得て、さらにカルテや検査データから患者さんの状態をアセスメントし適切な栄養管理、食事指導を行うという実践的な内容の実習に真剣に取り組んでいた。NSTカンファレンスへ参加したり、糖尿病専門医から講義を受けたり、薬剤師の業務体験もし、NST親睦会(暑気払い?)にも参加した。そして最終日「秩父病院に実習にきてよかったです」と話していた。将来は秩父地域の病院や福祉施設への就職を考えているという。管理栄養士も医療スタッフの一員として臨床の現場でどんどん活躍してほしい。
9月の症例検討会に県内大学の医療系学生が参加
9月30日に行われた症例検討会に多くの医師会の先生方の参加に加えて、埼玉県立学校の副学長の萱場一則先生以下、保健医療福祉学部の学生さん、埼玉医科大学、自治医科大学および明海大学の学生さん達が参加した。症例発表も多くあり、私は、来年の日本外科学会定期学術集会の『地域外科医療を支えるための工夫』のセクションに応募した『地域外科医療を支えるための当院の取り組み』という演題のお話しをした。その内容は当院で研修した初期研修医へのアンケート結果をもとにまとめたもので、以下の如くである。
当院のコンセプト
『地域の患者さんが地域で十分な医療を受けられること』
『地域医療に役に立つ医師、求められる医師の育成』
1、 外科医師の確保 ・ 若い医師達から選ばれる病院となるために
① 各種専門医取得を視野に入れた後期研修プログラムの作成
② 先進医療への取り組み (腹腔鏡下手術、内視鏡手技等)
③ 一般外科医として多くの症例を研鑽できることをアピール
④ 初期研修医の積極的受け入れと指導。(現在、埼玉医大・日本医大系列7病院の研修協力施設となっている) 研修医の積極的な学会発表の実践
⑤ 大学病院よりの若手医師の派遣要請と派遣医師への指導
⑥ 子育て中の女性医師の受け入れとブランクのある医師への支援、雇用
⑦ 専門医、指導医の招聘、雇用
⑧ 地元出身医師の積極的招聘、雇用
⑨ 広報活動 広報誌(ちちぶ病院だより)、ホームページの作成
2、 医療レベルの確保
① 大学との人事交流(大学の専門医による専門外来の開設・腫瘍内科、乳腺外科、形成外科等。大学指導医による当院への出張指導等)
② 開放病床とオープンシステムの実践(地域診療所の整形外科・脳外科等の専門医による手術)
③ 医療の進歩に遅れないための技術、手術の導入
(1985年低位前方切除術、1990年胃切除後再建に器械吻合導入。1992年腹腔鏡下胆のう切除術。今年より腹腔鏡下胃切除術、早期胃がんに対するESDを開始)
④ 常勤外科医のレベルアップ(専門医取得・学会活動を含む)
⑤ 個々の医師の守備範囲の拡大(一般外科医あるいは総合外科医としての研鑽)
⑥ 地域診療所専門医による各専門外来診療
3、 その他
① 地域他病院外科医師への手術指導(院内および出張指導)
② 出来うる限りの学会認定修練施設の取得(日本外科学会・日本消化器外 科学会認定修練施設関連施設、日本消化器内視鏡学会)プライマリ・ケア連合学会認定総合医研修プログラムの申請
③ 月1回開催の医師会外科医会での勉強会・講演会での研鑽
④ 月1回の医師会症例検討会への積極的参加。学会活動、論文発表
県内学生との交流
さかのぼって、平成25年9月1日、埼玉共済会館で、埼玉県の4大学、埼玉医大、防衛医大、明海大学、埼玉県立大学の学生達より依頼を受け、『医療と福祉の連携・、多職種連携』という内容の講義を行った。50人近い学生たちの参加があった。
超高齢化社会に備えて、学生たちが社会保障(包括ケア・医療スタッフの多職種連携等)に大きな関心を持っていることを知って感心した。遊んでばかりいた私の学生の頃と比べると雲泥の差である。大変勉強になった。しかし、若い人はもっと子供っぽい方が良いとも思った
| 更新時間 : 2013年10月16日 14:26