花輪理事長の独り言
新型コロナウイルス感染・第七報(2021年1月28日)
昨年10月に第六報をアップした時と状況は一変しました。1月28日現在、秩父郡市での感染者の累計は150名を超えました。しかも毎日増え続けています。
現在日本は、第3波の渦中です。令和2年末より、令和3年の正月にかけ感染者が急増、1月7日には、東京や周辺県等に二度目の緊急事態宣言が発令され、現在11都道府県に広がっています。今や都会から地方への感染拡散の様相で、秩父地域も今年になって、特に1月中旬より激増しています。全国では私が最も心配していた、病院や老人施設で多数のクラスターが発生しています。残念ながら、当地でも老人施設で多数の感染者がでました。
当院では院内感染は起きていません。絶対に院内での感染者を出さない覚悟と、徹底した感染防護体制を取り、通常の診療を守りながら、コロナ疑い患者さんの検査、感染者の入院治療を行っています。従って、日々緊張の毎日です。
最近では当院の感染病床は常に満床で、退院するとすぐに、県より感染者の入院要請が入って来ます。全国的に感染病床数は不足し、現在では、軽症者はホテルか自宅療養を余儀なくされる状態です。しかし、自宅療養中に悪化する患者さんも多数おられるようです。当院は埼玉県からの要請に応え、中等症以下の患者さんをお引き受けしていますが、最近では、軽症者は少なく、多くは肺炎を併発、又は酸素吸入が必要な患者さんです。入院中に重症化した時は大学病院等の専門病院へ転院が必要となりますが、重症者の治療ができる医療機関は多くはなく、病床も逼迫しているというのが実情です。当地域を振り返ってみると、当院を含む3病院で、中等症以下の入院病床が21床あるだけですが、どの病院もすでに満床状態です。これ以上、老人施設や、よしんば病院等で集団感染が起こったことを考えると「なす術」なし、恐ろしいことです。
現状、新型コロナの特効薬がない今、希望はワクチンのみでしょう。
当院は埼玉県からワクチン接種協力医療機関に決まりました
国は、ワクチン接種について、順番を決め、まず最初に医療従事者から接種を始め、順次高齢者から、一般の国民に接種する方針です。当院は秩父地域の医療従事者推定3000人に2回、計6000回の接種を行う予定で準備中です。
現在、人(接種スタッフ)、場所、方法を熟慮中ですが、必ずやり遂げる覚悟でおります。期間は2月末から開始とのことと聞いています。6週間で完了の予定で準備しています。(尚、この間、場所とスッタッフは人間ドックのスペースと人材が当たらざるを得ず、当院人間ドックは休止となります。3月に検診予定であった方々には、ご無理をお願いいたしましたこと、お詫び申し上げます。順調に接種が完了すれば、4月初旬には再開しますので、ご理解の程お願い申し上げます)
一般的にワクチンは、個々の人に十分な効果があったとしても、公衆衛生的・全国的な感染予防効果は、いかに多くの人が接種により免疫を獲得できるかに掛かっています。
世論調査によると、接種したくない人が約40パーセント、接種したい人が35パーセント、その他わからない、とのことです。
残念ながら、今のところ、この新しく開発されたワクチンはまだまだ不明瞭な部分が多くあります。
例えば、①発症を抑える ②重症化を防ぐ などは言われていますが、③自身が感染しないか(免疫を獲得できるか)④人に感染させないか(感染力)、などは分かっていないようです。しかし、それは当然と言えます。なぜなら、あまりにも急速に開発。製造され、従来のワクチンと比べ十分な臨床試験を経ないまま、さらに、まだ実際にほとんど行われていないのですから。
ただ報道によれば、イスラエルは国民の30%に接種でき、実際の感染者数は減少傾向とのことです。もう一つ報じられているのは、副反応は多くは注射局所の腫れ、発赤、痛み、頭痛、倦怠感などで、アナフラキシーショックは10万〜9万人に一人とのことです。死亡者は報告されていません。
もちろん当院では、酸素吸入、ステロイド、アビガン、レムデシビル等の入院加療を行なっています。しかし、
最も確実なことは、今のところ、私たちには新型コロナに立ち向かう強力な武器がありません。特効薬が無いということです。私は、これに期待をかけるしか無いと考えます。
ただ怖い怖いと恐れおののき、他の国の結果を何もせず見ていて良いのでしょうか?もしそうなら、自分の事しか考えない情けない国民とみられても仕方がありません。本当に悲しいことです。 無知・他人事として無関心でいられる時期は過ぎました。
欧米諸国等の実情をニュースで知るにつけ、最近の日本の状況を見ても、さらに実際に感染患者さんの診療を肌で感じている私には、何もしないと言う選択肢はありません。
もう、人ごとではありません。あなたが感染し、重症化しても、早晩、診療・入院すらできなくなるでしょう。
真っ先に医療従事者に接種する機会を与えられたことは、秩父病院として大変名誉なことであり、私個人としては、医療者としての本望でもあります。また、医療従事者が最初の接種者としたことは重要な意味があると考えます。①医療従事者は感染のリスクが高い ②なので、医療の人材を守り医療を崩壊させない ③医療者こそ現状が理解でき、適切な選択が可能 ④なので、医療者なら高率に接種を受け、ワクチン接種自体に弾みがつく。
仮に、医療従事者が30パーセントしかやらなかったら、一般の人はほとんど接種しないことになるでしょう。その結果、接種率とワクチンの効果は格段に落ちるでしょう。医療者の責任は極めて重大であります。
当院はワクチン接種に際し、完璧な体制で臨みます。薬物・造影剤・食物・蜂刺され等によるアナフラキシーショックに対する対処は、私を含め、スタッフの得意分野であります。救急病院として、何ら躊躇や恐れることではありません。
私自身は多少の基礎疾患はありますが、迷わず一番最初にワクチン接種を行います。
当院は130人の職員の99パーセントが接種予定です。
コロナに打ち勝つには、感染予防も含め、私たち自身が戦う以外ありません。
昨年の初期に患者さんから、大量のマスクをいただきました。先日は、秩父郡市歯科医師会の平沼清史会長より、看護師に激励のお花をいただきました。本当にありがたく、心にしみました。ありがとうございました。
尚、当院はスタッフが充足次第、感染病床を増床すべく、特別病室の改装を行っています。
※ 写真は当院に入院中に重症化した患者を専門病院に転送するときの写真です。