花輪理事長の独り言
秩父メディカルフィットネス
現在、秩父神社に隣接する、旧秩父病院の「健康管理ビル」がリニューアル中で、
「秩父メディカルフィットネス」という健康増進施設に生まれ変わります。
11月末に完成し、来年(令和3年)2月より開業とのことです。
私は、現在まで半世紀近く秩父の医療に関わり続けてきました。この間、多くの患者さんを診察させていただき、同時に数えきれない程の手術も執刀させて頂きました。
その中で、何時も私の心の中で、気になっていたこと、残念に思っていたことがあります。
それは、当地域には『進行がんや末期がん』の患者さんが多い、ということです。手術で治せない方がいかに多いことか、外科医として、医師として、痛恨の極みであります。
当院は、34年前の昭和61年に、人間ドックを開始、翌年に「健康管理ビル」を増設し、「早期発見・早期治療」を目指し、検診内容の充実を図って来ました。これらは、病院移転後も変わらず続け、一病院として出来ることは精一杯行ってまいりました。
しかし、この「進行がんや末期がんが多い」という傾向は今でも変わっていません。秩父市ではがん検診の受診率は低く、がんを含む生活習慣病への啓蒙は未だ不十分であります。ましてや、医学的根拠を持った「予防の実践」は当地域ではほとんど行われていないと思われます。
今回、「秩父メディカルフィットネス」の開業に伴い、当院がこの施設と連携することによりこれが可能になります。具体的には「病院の医師・保健師・看護師・栄養士等」と「施設の健康運動指導士・トレーナー等の各専門指導者」が一体となって個人の健康増進を実践指導することができるようになるのです。
当院は130年近く、市の中心地で診療を続けてきましたが、10年前に移転しました。しばらくの間、地元の人たちの要望に応えるべく、旧病院の一部で、クリニックを開設していました。しかし、諸事情により閉院を余儀なくされ、その後病院建物本体は解体され、今は駐車場となっています。
かろうじて残った「健康管理ビル」も一時は解体を考えましたが、今回、別組織での運用が決まり、健康増進施設に変わります。これは私にとって大変感慨深いものでありますが、同時に念願であった、「検診から予防」への進化とも思え、「健康管理ビル」としての本来の目的を実践する絶好の機会と感じます。
疾病治療、検診に加え、私の長年の夢であった、「予防医療」が現実のものとなりそうです。