秩父病院での地域研修を終えて

2018年6月

2018年6月1日、始めての外病院での研修ということもあり、秩父病院へ向かう車中で少し不安を覚えていた日から早一ヶ月。 秩父での充実した研修生活は一瞬で過ぎ去りました。 業務中はもちろん、仕事終わりの飲み会等でも、先生方やスタッフの方々の優しさやご指導があったからこそだと思います。 外来、内視鏡、手術、病棟管理といったことを通じ、それぞれの事毎にも、治療の一連の流れとしても、 大学病院の研修だけでは学べない様々なことを勉強させていただきました。 すべてをここに書ききることは難しいので、今回は秩父での研修を通じて感じた、 正しい医療の在り方、またそれを実践するために必要な要素、について書きたいと思います。

正しい医療とは、患者さんが各々の望む生活を得られるための最大限の医療的サービスを提供すること、だと私は考えています。 その為に必要なこととして、evidence based medicine(EVM) 、患者医療者間や医療従事者同士でのコミュニケーションの大切さ、等のポイントはよく述べられます。 それら以外にも、我々が方針を決めるにあたっての判断材料というのは様々なものがあり、働き始めて2年目になる程度の経験の浅い私ですが、 大学病院での研修を通じてぼんやりとした形は見えてきたつもりでいました。 ただ研修が始まった当初、大学病院と秩父病院の違いに当初少なからずの驚きや戸惑いを覚えることがありました。 一方では、患者さんのために選択しないであろう方針、を他方では患者さんのために選択していた、からです。 もちろん後者の方針でも患者さんは非常に満足されていました。 なぜこのような違う方針を選択できるのかについて、医療従事者としての経験から得られることや、 その地域に密着しているからこそわかる患者さんの社会的な要望も大事な要素なのではないかと考えるようになりました。 これらは決して教科書には載っていないことだと思います。

そのような、地域における正しい医療を提供するために、スタッフ間の適切なコミュニケーションや、互いをできる限り理解し、 思いやり、尊敬することは大事な要素ではないかと思います。 秩父病院ではそれらが自然と形成される環境で、職場として居心地がよく、 そうであるからこそ患者さんにとっても安心できる病院になっているのではないかと感じました。 大学病院では接することの少ない方々とお話しさせていただき、仕事ぶりを拝見させていただいた今回の経験を、私自身生かしていきたいと思っています。

最後になりましたが、先生方、スタッフの方々には本当にお世話になりました。 非常に実りのある研修となりました。また機会がありましたら、私自身より力をつけて戻ってきたいと思いますので、 その際はぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。