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院長ブログ

総合医の私見

久しぶりに「秩父病院だより」を書いた。前回の43号に豪雪のことを書いてより1年経過してしまいました。今回2015年春号(N0.44)に「秩父花仁塾」と題して、「地域医療を担える医師の育成をしたい」具体的には「専門性を併せ持った総合医が目標である」と書きました。そして、「私の考える『総合医』については、当院ホームページ・院長ブログをご覧いただきたい」と記しました。そこで『総合医』について、現時点での私の考えを改めて書き留めておきたいと思います。

 

現在、「総合診療専門医」が注目されています。新専門医制度の発足により、2017年度に刷新される専門医認定制度が明らかになり、基本領域に「総合診療専門医」が加わり、19領域となると言うことです。これは超高齢化社会では、複数の病気を抱えた患者が増え、そのため従来の臓器別診療体制では適切に対応できないため、よくある病気の基礎的な診療を万遍なく行い、必要に応じて専門医につなぐ、縦割りの診療科の弊害を取り除くための医師の養成が目的のようであります。さらに地域の事情に合わせた対応も行い、医療多職種との連携、包括ケアシステムのリーダーとしての役割も期待されているようです。研修期間は3年、資格認定は20年度からとのことであります。

 

私はこの考えには70%は賛成でありますが、私の考える総合医とはだいぶイメージが違います。単にコーディネーター的役割を担うのではなく、得意分野を持つことが必要であると考えます。人間でいうなら背骨みたいなものが必要です。

超高齢化社会を迎え、「総合診療専門医」の必要性は理解できるところでありますが、私の考える総合医とは大分イメージが違います。基本診療科研修に外科はなく、小外科、外傷は救急医療研修で行うとのことですが、私は一般外科の研修は必須と思います。

総合医は3年程度で養成できるものでなく、生涯教育の範疇とも言えます。少なくとも10年以上のスパンで考えるべきでしょう。最も重要なことは、指導者の意識・考え方・教育方針であります。「温故知新、故きを温ねて新しきを知れば、以って師と為るべし」は指導医の絶対条件と考えます。

「専門性を併せ持った総合医・器が大きく、懐が深く、成熟度の高い医師」が理想でありましょう。具体的には外科系、内科系というより「地域医療を担うことの出来る医師、その地域、置かれた立場で役に立つ医師」の養成であります。それは、その地域の状況や医療環境により、救急医、総合内科医、一般外科医等が考えらますが、これらの基本領域専門医を併せ持ってこそ、総合医と言えるのではないでしょうか。


プロフィール
秩父病院院長 花輪 峰夫

秩父病院院長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

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