各種お問合せは|TEL.0494-53-1280 FAX.0494-24-9633|〒368-0046 埼玉県秩父市和泉町20番

院長ブログ

最近痛切に思うこと3 ~救急医療に思う~

最近、1次救急という言葉に疑問を持つようになった。というのは、夜間救急医療にあまりにも軽傷の患者が来院する状況は耐え難く思えてきたからである。いわゆる『コンビニ受診』である。秩父地域の救急体制は二次救急については夜間輪番体制を敷いており、当院を含む3病院が担当している。以前は8病院が参加していたが、近年急減してしまった。いずこも医師不足であるが、当院も例外ではなく、夜間当直医は1名、院長の私が待機当直の体制でどうにか輪番当番を維持している。休日については、昼間の時間帯は医師会の休日診療所と在宅当番の診療所が1次救急を担当しているが、夜間の救急は二次救急輪番病院が担当することになっており、当然1次より3次までの救急患者が来院する。

さて、1次、2次、3次救急とはなんであろうか。一般的な解釈では、

1次は入院の必要はない程度の軽症者に対する救急医療

2次は入院を要するような比較的重症患者に対する救急医療

3次は二次救急医療では手におえないでさらに高次の医療が必要な患者に対する医療である

以前私は、救急医療に1次も3次ない、ともかく緊急を要す患者を診る、治療するのが救急病院の努めである、と思っていたし、今でもできればそうありたいと願っている。

 しかし、最近は残念ながら、心変わりをせざるを得なくなった。

 はたして夜間の救急医療に1次なんてあるのだろうか、必要なのだろうか、と思うのである。

なぜ昼間の内に来なかったのと問うと 「忙しかったから」「昼間は混むから」こんな患者に限って、待たされたと文句を言う。これは問題外としても、明日の朝まで待てない1次救急の患者はいないはず。精神的不安で夜間の受診する患者の気持ちは分かるが、今二次救急の現場はそんな余裕はないのである。軽症者が大勢来れば、本来の二次救急病院の役割である、重症患者の治療がおろそかになる。3次医療機関に転院搬送しなければならないような患者がくれば、軽症患者には手が回らないのは当然である。当直医が救急車に同乗して行かなければならない場合も多い。

一方、秩父地域の救急体制に、平日夜間小児1次救急がある。平日の午後10時まで医師会や市立病院の先生方が、その名の通り小児の1次救急を担当して下さっている。ほとんどが熱性痙攣等の軽症患者、あるいは若い母親の心配、不安の為の来院であるが、小児疾患は急激に進行する疾患もあること等、小児特有な病態を考えると、私はこのシステムは大変意味のあるものと考えている。

さて、日本のように365日24時間、医者に診てもらえる国がほかにあるのだろうか。日本が世界に誇る国民皆保険、フリーアクセスではあるが、私は今や、『救急医療の現場を無視したサービス過剰状態』と言いたい。医療はサービス業と据える国や市民の感覚も納得が行かない。医療は社会保障であり救急医療は安全保障である。安全保障に1次救急の余地はない。「少しは我慢しなさい。もっと早く来なさい。朝まで待ちなさい」と言いたい。少なくとも、小児を除き、『夜間の1次救急』などと言う言葉は抹消してもらいたいと思うのである。

 


プロフィール
秩父病院院長 花輪 峰夫

秩父病院院長 花輪 峰夫

人と人との触れ合い医療を実践し、患者さんから信頼され、スタッフが気概を持って、地域に貢献できる病院を目指します。

記事カテゴリー
月別バックナンバー

PAGE TOP

秩父病院