秩父病院での研修を終えて
医師として
秩父病院の外科は外科と名のつくものであれば全て行うという構えだ。
大学病院では少しでも自分の領域でないものや、合併症のあるものは敬遠し、他科にまわそうとする風習があるが、ここではその常識は通用しない。
日々、あらゆる科にまたがる手術が、あたり前のように行われているのである。
それは医療過疎である地域病院ならではという見方もあるかもしれないが、私はこれこそが医師であることであり、"医師としての責務なのだと考えさせられた。
大学病院での診療は実に範囲が狭く、特化している。大学病院にいるうちは良いが、ひとたび外に出ればどうだろうか。
秩父病院の先生方の様にあらゆる局面に対応できるであろうか。細分化された環境に身を置き、特化した知識や技術を身につけることも重要なことではある。
だがそれによって己の視野や限界を定めていまうことは、あまりに悲しいことであると感じた。
ある分野を極めること
一見上述の内容に矛盾するかのように思われる考え方であるが、話を聞いてなるほどと思わされる。
医療は山の模式図のようであり、ある部分を伸ばすことによって自分に自信が生まれ、それに連なるが広がるのだという。
専門分野は、診療の幅を広げるための武器となりうるという考え方にレベルの高さを感じた。
インフルエンザ
秩父病院の研修中にインフルエンザに羅患した。
ここ10年程、風邪を引くこともなく、大学病院で12月31日の日直帯、疑いも含めて50人近いインフルエンザ患者を診察したが、羅ることはなかった。
それがここに来て、インフルエンザ陽性患者を診察したわけでもないのに羅患してしまった。ここのインフルエンザは強かった。体調管理の重要性を改めて実感した。
総括
秩父病院での1ケ月の研修は医療スキルを学ぶ上では非常に短いものであった。
だが医師としての考え方について、考えさせられることが非常に多く、今後の医師人生に大きな影響を及ぼすものであると実感している。